STORY
1936年、ベルリンオリンピックの取材でドイツへ渡った峠草平は留学中の弟を何者かに殺される。やがて弟がヒットラーに関する重大な秘密を知ったことにより口封じで殺され、さらにその秘密の文書が日本へ向けて送られたことを知る。
一方、神戸ではドイツの総領事館員のカウフマンも本国からの指令を受け、文書の行方を追っていた。熱心なナチス党員である彼は、一人息子のアドルフを国粋主義者として育てようとするが、アドルフは強く反発する。同じ名を持つ親友のアドルフ・カミルが、ナチスドイツの忌み嫌うユダヤ人だったから。
時はヒットラーという独裁者が支配する暗黒の時代。
運命は2人の少年の澄んだ友情をも残酷に引き裂いてゆく――