『トーマの心臓』
ドイツのギムナジウム(高等中学校)と寄宿舎生活を舞台に繰り広げられる物語。
冬の終わりの土曜日の朝、一人の少年が自殺した。彼の名はトーマ・ヴェルナー。
そして月曜日、一通の手紙がユリスモールのもとへ配達される。「これが僕の愛、これが僕の心臓の音・・・」
トーマからの遺書だった。
その半月後に現れた転入生エーリク。彼はトーマに生き写しだった。
人の心を弄ぶはずだった茶番劇。しかし、その裏側には思いがけない真実が秘されていた。
『訪問者』
家庭内に居場所がないように感じていたオスカー・ライザーは、自分は父グスタフの子供ではないのではないかと疑っていた。
ある時、父グスタフは妻ヘラに事実を告げられ、衝動で彼女を撃ち殺してしまう。オスカーは父が母を殺したこと、そして自分が父の子供でないことを悟る。警察から必死に父をかばうオスカーは父に連れられ、逃亡の旅に出るのだった・・・・・・