スタジオライフが入団オーディションを始めてから3年になる。毎年10人程の新人を選抜し迎え容れるわけだが、一年後に残るのはせいぜい半分以下の人数だ。芝居を続けることの意味が見出せなかったり、一見派手な世界と思いきや日々の稽古は地味な苦しみであったり、またアルバイトという現実の方が忙しくなったりと去る人々の状況は様々である。続けるか辞めてゆくか、その分岐点がこの新人公演「WHITE」となるようだ。

 新人公演は立ち上げから自分たちの手で行い、制作面 、裏方のことも含め舞台がどのように成り立ってゆくか実際に経験してゆくことに大きな意味を持つ。もちろん新人達だけで成立させてゆくことは不可能であり、ジュニア1、2、と呼ばれるかつての新人達が手助けし、さらに古くからのメンバー達がサポートするという二重の応援団に支えられて幕を開けることになる。この間に先輩達との関係が結ばれてゆき、そして同期の絆が密にならざるを得なくなってくるのである。そして芝居は絶対に一人では出来ないことを実感として身につまされていくのだ。

 「他人との関係なくして舞台は創れない」このことが最大の魅力なのだが、また苦しみでもある。実生活で他人とどのような関係をとっているかということがそのまま舞台の上に投影されてしまうからだ。いろいろな個性があるのだから様々なスタンスがあるわけで、教科書にのっているような「正しい関係の取り方」の正解など何処にもない。自分で感じて考えて手探りで探してゆくほかない。面 倒くさくてやっかいなことだが、それでもこのことに面白味と興味を感じられれば舞台の仕事を続けてゆけるのではないかと思う。自分たちが中心となって進めてゆく新人公演では、否応なしにこのことと直面 せざるを得ない状況となるのだ。

  まだ何も書かれていない真っ白なページ「WHITE」に、今年の新人達は何を記してゆくのだろうか、どんなに汚い文字でも乱暴な字でもかまわない。取り繕うことの無い正直な文字を記してほしい。切にそう願っている。