スタジオライフ公演『ヴェローナの二紳士』は昨年の『お気に召すまま』に続き、またもや「素手で勝負」致します。自由にイメージを広げられる象徴的な舞台空間、ブルーデニムのボトムスと白麻のトップス、ヘアメイクも無しの言わば丸腰で挑んだシェイクスピアは言葉が最大の武器となり、否応なしに自分たちを緊張の極みへと引き上げてくれました。
この、敢えてシンプルの極みの中でシェイクスピアの真髄に迫るという無謀な企てにまたもや飛び込んでいます。これぞシェイクスピア作品を小劇場で上演する醍醐味と思っているからです。微細な瞳の動き、繊細に変化する息遣いなど本当に些細な部分までしっかりとご覧いただける客席との至近距離だからこそ、剥き出し状態の役者の心の動きを共有していただきたく思っています。そして、何もかも削ぎ落した空間の中で、言葉が立ち上がる感覚を味わっていただきたく思っています。役者たちは逃げ場も拠り所もない空間に放り出され、命がけの勝負となります。演出も同じです。何もかも剝ぎ取った舞台の中では、如何に作品と向き合っているかが否応なく問われます。スリリングな、一歩間違えば命取りともなるアプローチです。でも、スタジオライフは、自分たちの可能性を信じて勝負します。筋骨隆々の男優がドレスもヘアメイクも無しで女役に挑みますが、心は間違いなく乙女です。男役も然りです。ジーンズと白シャツのみで威厳ある大公にも、人の好い宿屋の亭主にも、頼りない婚約者にも挑みます。夫々が登場人物の根幹をしっかり掴まなければ、全員衣装のデニムと白麻の中に溺れて沈んでしまいます。キャラクターを彫り込み、言葉を際立て、それぞれの役の心を演技力でお魅せできるよう、只今の稽古場は足掻きと熱気が渦巻いています。残すところ開幕まで10日あまり！　普段は使わない言葉に四苦八苦しながらも、何でもありの稽古場は役者たちが生み出す突飛もないアイデアが溢れています。
スタジオライフが意地とプライドを賭けて勝負するシンプル・シェイクスピア、どうかご高覧のほどを切にお願い申し上げます。

「山賊２」の日替わりキャストが決定しました。
 
・石飛幸治【9/28(土)13:00・9/29(日)13:00】
・笠原浩夫【10/3(木)19:00・10/6(日)13:00】
・及川　健【9/27(金)19:00・10/2(水)19:00】
・曽世海司【10/1(火)19:00・10/5(土)18:00】
・青木隆敏【9/28(土)18:00・10/4(金)19:00】
・関戸博一【10/2(水)14:00・10/5(土)13:00】