2007年3月9日(金) シアターサンモールにて、華々しいキャリアを重ねながら今日の日本の演劇界を牽引する舞台美術家 朝倉摂さん、自らをシェイクスピアの広報担当と名乗り、37作品ものシェイクスピア劇を手掛ける翻訳家の松岡和子さんを迎え、Studio Life唯一の女性にして演出家である倉田淳の3名の女性がシェイクスピアをテーマにしたトークイベントを行いました。また、同時に劇団Studio Life(スタジオライフ)の次回公演「Romeo&Juliet (ロミオとジュリエット)」の製作記者発表会も行われました。 |
松岡 :シェイクスピア作品は1つの作品の中に、人間ってなんて俗悪なものなんだろうって思う部分とまだまだ人間って捨てたものじゃないなぁて思う部分と、必ず二つ描かれているんですね。で、悲劇だと前者の要素が強く、喜劇だと後者の要素が強くなるんです。それがもうなんとも言えないバランスで配備されていて、そこがシェイクスピア作品の時代を超えた普遍的な面白さだと私は思うんですよね。 朝倉 :私も松岡さん同様、人間の根本が描かれているから、時代を超えて愛されるんだと思いますね。それに、国境も超えてしまう。結局人間が問題にすることなんて、そんなに変わらないんですよね |
松岡:個人的には「夏の夜の夢」、「間違いの喜劇」に続く3作品めのシェイクスピア作品の翻訳で、本当にまだこうおずおずと手探りでやってた作品なんです。1番の発見っていうのはどんなにロミオとジュリエットっていうのが対等かっていうことです。これまでの翻訳ではとってもジュリエットがへりくだっているんですよ、ロミオに対して。やっぱりいいところのお嬢さんっていうのが男性と話すときには一応形はへりくだってってやることが両家の子女のお行儀の良さだっていう時代の慣習のようなものも背景にあったのでしょうけれども。でも、原文をみていかに対等か、男同士なら“俺・お前”みたいな親しさで、っていう感じです。ですから全体に言ってもしかしたら私のロミオとジュリエット、私が訳したロミオとジュリエットが一番下町っぽいかも知れないし、それから男の子たち、それから乳母といったおばさんたちの使う言葉は一番品が悪いかもしれません。そういうあたりの言葉の違いっていうのをとても意識させられたし、そういうことに気がつくっていうか、そこを意識して訳そうと思ったのはもしかしたらさっき倉田さんがおっしゃった私が女だからかもしれません。」
朝倉:もし、私が今、ロミオとジュリエットのセットを頼まれてやったら、もう蜂の巣みたいなね、もうラビリンスみたいなもので、出口なしみたいなねものを鉄骨かなんかでこう組んでね、それを行ったり来たりするみたいな今そういうことを考えますね。ロミオとジュリエットっていうのはなんか地べたにいない人間みたい見えるんですよ。なんかこう空間にある人間みたいなね。それはどういうことかっていうと要するにある部分ではとても美しいお話ではあるんですね。でもその辺に転がってるお話でもあるんですね。なんかそういうようなことでね、なんか空間に置きたいみたいなね気持ちがねとっても私の中でするんですね。 |
◇演出/倉田 淳 ◇ジュリエット/松本 慎也 ◇ロミオ/岩崎 大 ◇ロミオ/荒木 健太朗 ◇ティボルト/高根 研一 ◇ティボルト/奥田 努 ◇マキューシオ/坂本 岳大(客演)
◇マキューシオ/曽世 海児 |
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